よくある雑記帳

質問箱への回答の具体化版、育成論に起こすほどではないor育成論の形式に反する考察を雑に投げていきます。

【解禁】新特性「リベロ」エースバーン考察

6月2日夜、新特性「リベロ」を持つエースバーンが解禁された。

そもそも「リベロ」とは?

リベロ:自分が技を使うとき、攻撃・効果発動する前に、自分のタイプがその技のタイプに変化する

類似する特性にゲッコウガカクレオンなどが持つ特性である「へんげんじざい」があるが、基本的な効果は同じである。

「基本的にすべての技をタイプ一致で使うことができるため単純に火力が上がる」「タイプを変え続けることで相手の攻撃を受けやすくなる」などの、優秀な点の多い特性である。

第7世代(サン・ムーン)までの環境では実際に、ゲッコウガが「『くさむすび』によって草タイプになることで、『きのこのほうし』を無効化し、『きあいのタスキ』持ちのキノガッサに対して有利に立ち回る」といった活用をしていた。疑う余地のない強特性である

エースバーンと「リベロ

エースバーンの主なステータスは以下の通りである。

 種族値:80-116-75-65-75-119

 タイプ:ほのお

 特性:もうか・リベロ

種族値を見て明らかであるように、典型的な物理アタッカー型ポケモンである。

この数値と特性を見て、以下のポケモンを連想したプレイヤーも多いだろう。

 種族値:72-95-67-103-71-122

 タイプ:みず・あく

 特性:げきりゅう・へんげんじざい

第7世代環境の使用率上位の常連であったゲッコウガである。

高速・中火力・紙耐久という、非常によく似た種族値に加え、特性の効果までもが酷似している。「かつての猛者と同じ風格」というだけでエースバーンは既に少年漫画の主人公のごとき強者感を醸しているが、実際その通りで、前述したようなゲッコウガの強みとよく似た、「とにかくタイプ一致で攻撃して火力を出す」という立ち回りを得意とし、解禁された数時間後にはエースバーンの15%は「リベロ」の個体になり、また更に一夜明ければその割合は65%を超え、今やその割合は90%を超え、「エースバーンを見たら『リベロ』と思え」と言って差し支えない環境になった上に、そもそも全ポケモン中の構築への採用率でも4位に食い込んでいる(2020年6月4日現在)。

もともとの素早さの高さは据え置きで火力を補う手段が与えられたのだから、弱いわけがないのだ!

6月4日現在のエースバーンのトレンド

*以下はすべてポケモンHOMEのバトルデータを参照した。

①一緒にバトルチームに入れられているポケモンランキング

 1.ドラパルト

 2.ミミッキュ

 3.ドリュウズ

 4.トゲキッス

 5.ウォッシュロトム

 6.カビゴン

 7.ラプラス

 8.カバルドン

 9.ギャラドス

 10.アシレーヌ

1位から7位については、あまりにも全体での採用率が高すぎるため、中堅以上のポケモンの統計ではほとんど彼らがランクインする(要するにほとんどのパーティに入っている)傾向にあるため、エースバーンと相性云々とは別の基準で語る必要があるが、8位以下についてはエースバーンとの補完が大きく関わった統計になっているように思う。

というのも、以下のような現象が起こっていると考えられるためである。

 1⃣「リベロ」エースバーンを対策する上で、「素の炎タイプに強い水タイプなどで 殴って倒す」や「物理耐久に自信があり、『ステルスロック』などによる削りと並行した流し」という手段は非常に有効であるため、カバルドンギャラドスアシレーヌなどが構築に採用される。

 2⃣カバルドンと水タイプの並びを作ると、「リベロ」エースバーンと同時に解禁された「グラスメイカー」ゴリランダー(をはじめとする草タイプ)が重くなる

 3⃣草タイプを上から焼いて倒すのには炎タイプが有効であるため、この補完にエースバーンを採用する。

要するに、「エースバーン取りがエースバーンを使う」と言わんばかりの構築が為されている可能性が指摘できる。

実際に筆者も「カバノラゴンバーン」と称し、「流し役のカバルドン・水アタッカーのウオノラゴン・草対策のエースバーン」の並びから今シーズンの構築を練り始めていた。

②バトルチームの中で採用されている技

 1.かえんボール(88.5%)

 2.とびひざげり(80.2%)

 3.ふいうち(77.4%)

 4.とびはねる(61.5%)

 5.アイアンヘッド(30.6%)

 6.とんぼがえり(13.3%)

 7.ビルドアップ(7.4%)

 8.しねんのずつき(6.6%)

 9.ダストシュート(6.2%)

 10.エレキボール(5.6%)

「威力が高く、弱点を突ける範囲が広く、非接触の物理技という個性を持ち、更に追加効果で火傷を狙える」という優秀な個性尽くしの「かえんボール

「威力が高く、岩・悪などに刺さり、バンギラスサザンドラなど優秀なポケモンに高い打点を持てる」という「とびひざげり

「比較的威力の高い先制技」である「ふいうち

メインウェポンとして、これらをほとんどの個体が採用していることが分かる。

「タイプ一致ダイジェットにより、抜き性能を高めつつ飛行タイプの十分な火力を出す」ことを目的とした「とびはねる

「環境上位のポケモンであるミミッキュの弱点を突くことができ、ダイスチルによる耐久上昇で多少場持ちをよくさせる」ことができる「アイアンヘッド

「攻撃しながら交代することで、倒せない相手との対面から離脱し、サイクルを有利に進める」ことができる「とんぼがえり

「攻撃・防御を高めることで、抜き性能と場持ちしやすさを高める」ための「ビルドアップ

「ダイサイコによりサイコフィールドを展開し、相手の先制技を封じることで高い素早さをより有効に使う」ための「しねんのずつき

「範囲こそ狭いものの、アシレーヌなどに対して高い火力を出すことができる役割破壊技」としての「ダストシュート

ギャラドスを対面から処理し盤面を有利に保つほか、ダイサンダーによりエレキフィールドを展開することで催眠などに強くできる役割破壊技」としての「エレキボール

サブウェポン・役割破壊技・積み技としてはこういった技が採用されている。

このラインナップを見て分かる通り、非常に技の範囲が広く、出せる火力も高い上に、技候補があまりに多いため型を見極めるのが容易ではない。

上位10位には入っていいないものの、優先度2の先制技である2「フェイント」も覚えられるため、「タスキで耐えて先制技でなんとかする」といった戦術で対処するのが難しいのも難点であろう。

全体的にダイマックスを前提とした技採用が多いため、逆に言えばドヒドイデなどの耐久に自信のあるポケモンで攻撃を受けつつ「くろいきり」などを使えば、相手の体勢を崩すこと自体は可能に見える。しかし、ダイマックスを抜きにしても素で十分な性能を持つポケモンであるため、それで対策ができているとは決して言えない。

③バトルチームの中で採用されている道具

 1.いのちのたま(63.7%)

 2.きあいのタスキ(10.7%)

 3.ラムのみ(5.6%)

 4.たつじんのおび(5.6%)

 5.こだわりスカーフ(4.8%)

 6.こだわりハチマキ(3.5%)

 7.チイラのみ(2.0%)

 8.とつげきチョッキ(0.8%)

 9.じゃくてんほけん(0.6%)

 10.こうかくレンズ(0.6%)

前述した技のラインナップを見るとわかるように、「ダイマックスを前提とした構成」が多いポケモンであるため、「こだわり」系アイテムよりは「いのちのたま・たつじんのおび」による火力強化が為されている個体が多いようだが、「唯一の弱点と言ってもよい紙耐久を補う」ための「きあいのタスキ「高い素早さを麻痺によってつぶされたり、『あくび』などによって流されるのを防ぐ」ための「ラムのみ」採用も少なくない。一方でダイマックス前後に「こだわりハチマキ」で高火力で押していく型や、「こだわりスカーフ」で素早さをさらに高めていくことで、多少の素早さ上昇や相手の「こだわりスカーフ」持ちに対処する型も存在する。

エースバーンの育成

エースバーンの性格・努力値振りについては、

 1⃣高い素早さにより、相手のポケモンの上をとって攻撃していく

 2⃣高速アタッカーとして立ち回る以上、攻撃はできるだけ削らずに済ませたい

 3⃣「エレキボール」を採用しない場合、両刀型にする必要はない

 4⃣耐久についてはそれほど優先度の高いことはないが、仮想敵如何で調整の余地あり

以上を踏まえて考えればよいだろう。

素早さのラインとしては、

 119族:エースバーン

 118族:ルチャブル

 117族:エンニュート

 116族:エルフーン

 115族:チラチーノ、Aペルシアンペルシアン、ニューラ

 114族:ココロモリ

 110族:ユキメノコ、エーフィ、ゲンガー、Aダグトリオ、Aライチュウライチュウ

 109族:エレザードアイアント、Aキュウコン

 108族:デンチュラ

 106族:レパルダス

このあたりから決めれば無難だろうが、少なくとも全体での採用率の高いアイアント(39位)は抜いておきたい。また、アイアントと比べると少し数は減るが、ルチャブル(56位)も意識するに足る存在と言えるかもしれない。

よって、少なくとも109族抜き以上の素早さを確保し、他に努力値を割きたい箇所が無ければ118族抜きつまり最速でいいと考えられる。

ただし、こういったラインの仮想敵を切って敢えて100族抜き程度まで素早さを落とすことで、十分な火力を持った両刀振りを実現する方針にも一考の余地があるだろう。

その両刀についてだが、「エレキボール」を元とする「ダイサンダー」は性格補正なしの特攻に156振りすることで「『いのちのたま』込みで無振りダイマックスギャラドスを確定1発」にする程度の火力が実現できる。

耐久調整について、例えばHPに20振りすることで「ダイマックス時に性格補正なし特攻252振りトゲキッスの『ダイジェット(元:エアスラッシュ)』を確定耐え」することができる(尚、実数値が偶数になっていしまうので28振りすると、HPが10n-1になる)。この程度であれば削ることになる火力は微々たるものであるので、持ち物や技と相談しつつ検討してもいいかもしれない。

きあいのタスキ」採用であれば素直に「ようき:攻撃252振り・素早さ252振り」が安パイであろうし、「たつじんのおび・いのちのたま」採用などであれば前述したトゲキッスの攻撃を耐えるため、「ようき:HP28振り・攻撃252振り・素早さ228振り」などでいいだろう。

もちろんこれは一例に過ぎず、育成は実際には搭載する技や今後移ろう環境に応じて柔軟に考察するべきである。

 

*本記事はあくまで筆者の見解を示したものであり、ランクバトルにおける今後の展開を予言したり、対戦における実績を保証するものではありません。